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東京・八王子市の通り魔事件で殺人未遂容疑で逮捕された容疑者(33)が勤めていた東京都八王子市の板金加工会社は、凶悪な犯行とまじめな勤務態度のギャップにショックを隠し切れなかった。

 容疑者は今年4月初旬、新聞折り込みの「月収18万円」という求人広告を見て直接会社を訪問。面接では、「ずっと派遣で組み立てをやってきた。製造やモノを作ることが大好き」などと話し、複数の地元工場勤務の履歴書を提出。5月の連休明けから、正社員になることを前提に1カ月間の試用で働き始めた。

 昼休みに同僚らと昼食をとるなど、順調に職場に馴染んでいたが、出社わずか7日目で金属の板を織り込む機械に右手を挟み、人差し指、中指、薬指を骨折。警察と消防が出動する大騒ぎの末、市内の整形外科に2週間入院した。

 同行した労務担当者は、病院で父親から「(息子が)家では『オレはこういう仕事にむいている』と話しているので、どうぞよろしくお願いします」と頭を下げられたという。

 容疑者自身も、見舞いに訪れた知り合って間もない同僚に対し、「迷惑をかけて申し訳ない。早く復帰したい。寝返りを打つと指が痛むんです」と気さくに話していた。その同僚も「勤務態度は非常にまじめで、あいさつもしっかりしていた。談笑もしていた」と話している。

 退院後、容疑者は自宅療養のかたわら、今月初旬と17日の2度も会社を訪れ、リハビリの経過や労災手続きなどを報告。労務担当者に「ぜひ、この仕事を続けたいと思っている」と話していたという。

 担当者が、軽作業ならばいつでも復職できると伝えると、容疑者は「9月から復帰できる」と返答し、了承したという。社長からも「正社員となることを前提に戻ってきてほしい」と伝えられており、今週中に再度、経過報告に訪れることを約束して別れたのが最後となった。

 容疑者が勤めていた会社は資本金500万円の有限会社で、従業員約20人の中小企業。主に航空機用精密板金、機内用カートの組立、部品組立、溶接全般、機械加工などを行っている。仕事は板金、機械加工、溶接、組み立てが4本柱で、多数の工作機械などを備えている。

 民間調査会社によれば、ここ数年の売上げは横ばいで、2008年2月期決算の売上高は2億1500万円。

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